診療所の思いの丈
私たちのめざすもの
私たちは、ありがちな患者さんの「遠慮の上に成立つ医療」ではなく、いつでも、気楽に気取らず、どぅすぬや(友達の家)に行くように通ってもらえ、喜怒哀楽が共にでき、垣根の低い本音で話し合える医療現場づくりが目標です。
「遠慮」というバリアーは、治すべき疾病の本質を隠し、結局は、医療を提供される側も、提供する側も、「お互いの誤解」の上で最善を尽くすことになり、よい治療結果を得ることはできません。私たち職員一同は、皆さんと、「どぅす(友達)・あぐ、とぅんから(同級生)」になりたいと思っています。
場所を選ばず、いつでも気楽に相談できる環境作りこそが、疾病の早期発見、早期治療であると考えます。そういっても、なかなか、皆さんにはそんなことはできないと、思われている方も多くおられることは重々承知しております。でもこつこつ、一人でも多くの方の意識改革を進め、「どぅす(友達)・あぐ(男性の同級生)・とぅんから(女性の同級生)づくり」に賛同して頂ける人を増やしてゆきたいと思います。考えてみてください。「便利使いできる友達の医者」が手の届くところにいる、便利と思いませんか?
どうす・あぐ・とぅんからづくり
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当診療所は、なかなか簡単には見つかりません。開院以来大勢の方々から「どこにあるかわからない。道に迷って1時間もかかった。3度目にやっとたどり着いた。」などなどお叱りをいただきました。非常にご迷惑をおかけしております。わざと意地悪をしているわけではありません。ごめんなさい。
当院は脇道の奥、サトウキビ畑の裏にあり、キビが育てば屋根の赤瓦しか見えなくなる場所に立っています。私たちはこの空間が大好きです。車の行き交う忙しない場所から切り離されたこの空間が大好きです。私たちは、好むと好まざるに関わらず知らないうちになぜか時間に追われた生活を強いられています。たとえば朝の健康体操、畑が忙しいからできない。よく聞く言い訳です。畑には遅刻はありませんし、タイムカードもありません。でも何故か忙しいのです。いつのまにか追われているのです。こんな事を続けていたらいつか心も体も磨り減ってしまうと思いませんか?だから、私たちは提案したいのです。せめて疲れ痛んだ体を治すために診療所に通う時くらい、誰にも追われ急かされることなく自分の体のことだけを考えてみる時間をとりましょう。贅沢なことではありません。心と体の健康を保つための最低限のお約束ごとです。そう思いませんか?私たちの診療所の裏は、幸いこぢんまりした森に囲まれています。多くの鳥も訪ねてきます。忘れていた鳥の声を聞き風に吹かれ、ゆったりとした時間と空間の中で、心の時計を一度リセットしてみませんか?自分だけのために時間と空間を持つ勇気を持ちましょう。当診療所はそんな気持ち作りをお手伝いしたいと思っています。
宮古島で診療所をつくるということ
この文章は2005年 10月 10日に診療所建設ブログで書かせていただいた私たちの原点です。
ちょっと、長いですよ。。いいですか?覚悟はできましたか?それでは一気に読んでみてください。
この島との出会いは、5年前にさかのぼります。私は当時、脳神経外科の医師として、大学人として20年間、高度先進医療に携わりながら過ごしていました。20年も大学病院にいると、否応なしにスーパーマン的に「三種の神器」すなわち、「診療」、「研究」、「教育」をつつがなくこなし続けなければいけません。しかしそれぞれを真剣に取り組めば組むほど、それぞれ一つ一つが大事業なので、どうしても非人間的な生活に落ち込みます。それでもその中で、マゾヒストになりきり、自己限界に挑戦しそれを克服し続けることが当たり前のような誤解の中で仕事をし、どこか、突き詰めきらない、中途半端な生活を続けておりました。
そんなある日、宮古島の新設病院で、脳神経外科医の募集があり、軽い気持ちで「体験お見合い」的にインタビューを受けることにしました。その際に「人の命は平等だ」という、当たり前の医療理念に触れる機会があり、あまりにすっきりした理念だったので、とても気に入ってしまいました。この言葉との出会いがその「宮古島就職」の原点です。
この間、脳神経外科専門医が6000名を越える現状の中、未だに56000名を有する宮古島に21世紀になっても、定着する脳神経外科医が一人もおらず、地方派遣の医師による断片的な連続性のない医療を受けざるを得ない人達が多くいることを知り、もちろんその頃は、いわゆる「離島、僻地」の医療現状などとは、ほど遠い環境で仕事をしておりましたので、日常茶飯事的に存在する「足らぬ医療」の実態を知ったときは、自分の懐のあささに恥ずかしさを覚えました。
私は、射手座のO型で、元来、一度飛んだら飛びっぱなしのおっちょこちょいなので、後先かまわず、単純に「なんか役にたちたいなあ」、「なんとかしないと」と思い宮古島への移住を単純に決めてしまいました。(ちょっとかっこよすぎます?すみません。
m(_ _)m )そんな裏事情だったので、あまり抵抗感もなく大学の退職を決め、一度も訪ねた事もない沖縄、そのまた先の宮古島に突然なんら下調べもせず家族丸ごと移住しました。
その後、立ち上げの病院で過ごした5年間で、「足りるところ」「足らぬところ」を日々の診療や生活、また島中に出向いた医療相談会などを通して実感し、宮古島がますます身近なものになりました。おかげさまで、生まれて初めてやってきた宮古島でしたが、この恵まれた豊かな自然と人々との触れ合いの中で、「心の安らぎ、癒えと和み」を体験することができ、家族全員で楽しむことができています。また一方で、退職前の数年間は大学の都会型高度先進医療に違和感をもちつつ過ごしていましたので、この2年間で離島の医療を肌で感じ、常に両者を対比しながら島の方々の健康管理に携わることができ、本来あるべき「医療」と「生活」の関係、「医」と「療」、「健康に生きること」、「豊かに死を迎えること」を折りにつけ考え直す機会に恵まれました。結論は、ここでは「医療」と「生活」が共に支えあう表裏一体の密着型ではないこと、「医」は「医」で独立し「癒し」を積極的に支えていないこと、心を豊かにすることができる「環境」は整っているのに、宮古島の医療面は、あくまでも「利用者の方々の遠慮」の上に成り立った医療しか提供できていないことがわかりました。この環境は決して好ましいものではありません。この環境の未熟さは大学で感じた違和感に通じるものがあり、この時点にきて忘れかけていた私の「医療人としての根幹」を奮い立たせ新たな使命感が沸いてきました。我々、医療関係者はあくまでもプロとしてサービス業に従事する者として、利用者の方々に快適に過ごしていただく環境を整えることが第一義のはずであると思っています。それにもかかわらず、ここ宮古島では大学病院と共通な「敷居の高い」医療が一部ではまだ残されており、プロ意識のもとで手がけるサービス業としては徹底されていないのが現状であると判断しています。あるべき医療は「遠慮」が壁になる医療ではなく、「心が触れ合い和む医療」が本来の姿のはずです。
また一方で、都会では社会情勢の悪化に伴い蔓延する経済破綻の中、心を病みつつ都会生活を強いられ「墜落」する人たちが急増し、自殺をする人たちが3万人を越えました。またその蝕まれる心に拍車をかけるがごとく、毎日心が痛むニュースを無味乾燥な口調でニュースキャスターが伝え、「やわらかい」子供の心にまで暗い影を落とし、安らぎの世界とは到底いえない状況です。
「豊か」になりたいのは誰でも同じ、同じ権利であるはずです。その「豊か」な生活に欠かせない健康管理は、医療がその一部を担当します。しかし本来行われなければならない「心が触れ合う医療」も、経済破綻の高波に呑まれビジネス化され、「心が置き去り」にされた治療が残念なことに横行しています。また昨今は、経済的にも精神的にも貧窮することが多く、生活基盤も揺らぎ「心」も悲鳴をあげています。余裕をもてない生活を送りながら、「病める心」が健康な体を支えることができるはずもなく、それでも生きてゆかなければならない人たちは、心をすり減らし、命も縮めながらの生活を強いられているわけです。
このような劣悪な現状のなか、私はこの島で豊かな人々、自然にふれる機会を持ち、「癒される環境」を体験することが出来ました。これをひとりじめにするのではなく、多くの「癒されるべき」すべての人におなじ機会が提供できればと考えました。また宮古島の医療状況、環境要因を鑑み、また私が暖めてきました「目の高さを同じにした敷居の低い肩のこらない医療」をプロとして提供する場所は、まず自分の気持ちに素直になれ、自分の正義感、自分の根幹に触れながら仕事ができる宮古島ではじめてみようと思いこの計画にいたりました。
利用対象者は、島内の方々はもとより、広く島外の方も対象です。老若男女問わず、あらゆる年齢層が対象です。
このブログで紹介する、私たちが宮古島で始める活動は、
①「一段高いところにある医療」を従来あるべき「目の高さが同じ医療」に戻し、「おかげさま」「おたがいさま」の心を大切にして「安らぎ癒し和む医療」「垣根のない医療」を提供したいと思っています。
②「忌み病める日常生活」を、誰もが望む「安らぎ癒し和む豊かな生活」を取り戻せるような環境作りを目指したいと思います。
③この私たちの活動にかかわる人たち全員が、職域を越え同じ高さで協力し合い、共通する使命感を持って「心を癒し和ませる医療と生活の融和」を図り、最終的には、地球規模で「みんなで守ろうみんなの命(人間だけのことではなく、森羅万象、生あるものすべのことを視野に入れた命の尊厳を大切にする)」を共に考えたいと思います。このために、従来の完成された医療環境を直接提供すること(一般診療)も行いますが他面では、「心の癒し」を中心とした利用者の方々のサポートを行います。決して完成型の提供ではなく共に作り上げるものを目指します。いろいろな人たちとのふれあいの中で一方的にサービスを受けるのではなく、このサービスを提供する側も提供される側もお互いに助け合うことで「心の充実感」を味わいながら完成形を目指します。 「医療」というより「心療」と言った方が良いかもしれません。そのために多くのボランティアの方々も必要と考えています。
私達は、あくまでも利用者の方々のパートナーで、利用者の方々とともに考え、「安らぎ、癒し、和み」を計画します。主人公は老若男女を問わず利用者の方々です。
利用者の方々には、島内、島外の垣根なく交流(体験型交流、交換型交流)を深めるプログラムを用意し、この自然豊かな宮古島で、「海」「空」「大地」「人」にふれ、身も心もリフレッシュしていただき、「これからの自分のあるべき姿」を考えます。「物欲」ではなく「精神欲」を大切にし、一人でも多くの方とのふれあいの中で、「病める心」を無くし、「豊かな心」を育みます。
このようなコミュニティー作りを模索することが、これから社会にも、未来ある子供たちにも、必要な課題であると確信しています。またこのような組織作りの中で触れ合う人たちに今後の未来を考える多くのきっかけが、提供できることを心から望んでいます。
最後に、このように偉そうなことを書かせいただきました私も今日に至るまで多くの方々に支えて頂きながらも、若気の至りで言葉では尽くせない欠礼を重ねて参りご迷惑をおかけした事が多々ありました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。宮古島で教えていただいた事を十分に生かし、今後は身を引き締めて精進致しますのでよろしくご指導頂ければ幸いです。人生は一度、悔いのない充実した日々を、多くの方々と共に築いてゆくことができれば、これに勝る幸せはありません。 長いお時間をいただきありがとうございました。
院長プロファイル
氏名 竹井 太
- 学歴
- 1981年 東海大学医学部卒業 医学博士
- 留学歴
- 1983-86年 若いときにAlbert Einstein医科大学脳神経外科とMontefiore病院脳神経外科、神経病理研究所リサーチフェローとしてお出かけしました。
- 職歴
- 1981-2001年 東海大学医学部脳神経外科
- 2001-2005年 宮古島徳洲会病院
- 2005年 沖縄県立宮古病院脳神経外科
- 2006年8月 うむやすみやあす・ん診療所開設
- 資格
- 脳神経外科専門医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 高気圧酸素治療専門医
- 日本禁煙学会専門医
- 沖縄県認定認知症サポート医
- DanJapan協力医
- 活動
- NPO美ぎ島宮古島監事
- みゃーくふつカラオケ大会実行委員
- クイチャーフェスティバル実行委員
- うむい宮古島理事
- 宮古島手話関係団体連絡会お世話役
- 城辺手話の会お世話役
- サンゴ礁ガイド会員
- フィールドノートみゃーく塾(宮古の森を守る会)塾生
- 宮古島市産業医
- 沖縄県社会福祉事業団宮古島厚生園産業医
- その他、いろいろ楽しんでますよ。
うむやす通信(創刊号)
うむやす通信(第2号)
うむやす通信(第3号)
第3号 (表)
第3号 (裏)
うむやす通信(第4号)
第4号 1ページ目
第4号 2ページ目
第4号 3ページ目
第4号 4ページ目
うむやす通信(第5号)
第5号 1ページ目
第5号 2ページ目
第5号 3ページ目
第5号 4ページ目
うむやす通信(第6号)
第6号 1ページ目
第6号 2ページ目
第6号 3ページ目
第6号 4ページ目
うむやす通信(第7号)
第7号 1ページ目
第7号 2ページ目
第7号 3ページ目
第7号 4ページ目
診療所案内
診療科目
脳神経外科・神経内科・リハビリテーション科・内科
内地では当たり前のようにある組み合わせの診療科目です。が、、宮古島でははじめての脳神経疾患を専門にみる診療所です。 が、、、島ではそんな事いっていられません。とりあえず相談して頂けるように、よろず相談外来が十八番(おはこ)です。
診察時間
外来時間
午前 | 午後 | |
月 | 一般外来 | 一般外来・訪問診療 |
火 | 一般外来 | 一般外来・訪問診療 |
水 | 一般外来 | 第2・4 訪問診療 |
木 | 一般外来 | 訪問診療 |
金 | 一般外来 | 一般外来 |
土 | 一般外来 | 検査日 |
日 | 休診 |
- 午前 9:00~13:00
(受付は8:30~12:00 初診は11:30)
- 午後 14:30~18:00
(受付は14:00~17:30 初診は17:00)
- 予約、予約変更は 0980-73-3854 で受け付けています。
- 通院が困難な方の訪問診療・往診は随時受付しています。
詳しくは、受付でお問い合わせください。
※脳ドックは常時受け付けております。
専門外来案内
専門外来(予約制)
頭痛外来、未破裂動脈瘤外来、脳腫瘍外来、
脳卒中後遺症外来、てんかん外来、パーキンソン外来、
認知症外来、高次脳機能障がい外来
禁煙外来(県指定施設)、生活習慣病外来、
減圧症・高気圧酸素治療外来(外来相談)
診療調整日(予約制)
- 一般診療時間では収まらない方や訪問診療、往診希望の方など、診療調整をいたします。
家族相談外来・セカンドオピニオン外来
- いろいろな悩みでお困りの家族の方のよろず相談を受け付けています。特にご家族の認知症の問題でお困りの方や相談をどこに持ちかけていいのか判断に困られている方など、お気軽にご相談下さい。絡んだ糸のほぐしには時間をかけてゆっくりと。ご相談は受付でご予約下さい。
施設基準
施設基準
• 保険医療診療所
(国民健康保険、社会保険、厚生年金保険、船員保険)
• 労災保険指定診療所
• 生活保護法医療機関指定診療所
• 結核予防法による結核指定診療所
• 在宅療養支援診療所
• 在宅末期医療総合診療指定診療所
• ニコチン依存症外来指定診療所
• 特定疾患治療研究事業委託診療所
• 指定自立支援医療機関(精神通院医療)
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